079658 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

クリスタルのかけらに眠る勇者の心

クリスタルのかけらに眠る勇者の心

τになるまで待って

「τになるまで待って」森博嗣 著

 山奥の奇妙な館、超能力者、嵐、殺人、脱出付加、、、とくれば、典型的な館もの。更にそこで密室殺人事件が発生する、というストーリー。
 森ミステリには珍しく、前評判が悪かったので、正直、期待せずに読んだ。期待しなくて正解だった。
 ミステリというのは、基本的に「犯人、動機、トリック(アリバイ)」が解決されて完結するのだが、本書では解決するのはトリックだけ。しかもそのトリックがあまりにも物理的だった。犯人は不明、動機も不明、意味深な
エンディング、とまるで「次作に続く」と言わんばかりだ。
 殺人事件が発生しているにも関わらず、全く緊張感のない登場人物の会話には少々閉口気味。犀川があっという間にトリックを解決したので、思考をトレースする楽しみもない。とある仕掛けについては、早々に判ってしまった。トリックを楽しむ方は幻滅すると思う。
 Vシリーズの場合は、1つの話は完結しているが、「これは何の伏線だろう」という含みがあり、全体の仕掛けを同時に楽しむことができたが、本書は、全体の仕掛けのための1ピースという位置づけみたいだ。
 真賀田四季に対する作者の入れ込みが深いのか、今後、四季がどのように絡んでくるのだろう。
 これ一作だけでは評価できないなあ。





τになるまで待って


© Rakuten Group, Inc.